オリーブ少女に憧れて② 秋元康さんの名文

d0359706_10114665.jpg

先日注文をした古書『オリーブ』が届きました。30年前の9月の号です。表紙の素敵な5人の外国人モデルと特集の「役立つオリーブ!」今の時代でも豪華だな、と思いました。「フォーマルおしゃれ」や「男女交際のマナー」なんて、10代の頃に読んでおきたかったなあとオリーブ少女ではなかったことがまたまた悔やまれますが、今回私は、巻末にある秋元康さんの連載エッセイ、題「夏の背中。」に目が止まりました。
d0359706_10205754.jpg

秋元康さんはこの当時若手の新鋭の放送作家さんでいらして、ちょうどこの1987年9月の頃は、大人気を博していた「とんねるず」や「おニャン子クラブ」の楽曲を提供し、話題になっていました。『オリーブ』にもお声がかかっていたのですね。納得です。この「夏の背中。」はオリーブ少女たちへの、夏が終わった哀愁を秋元さんらしい文面で書かれているのですが、読み進むうちに私は、涙ぐんでいました。秋元さんの体験した切ない恋心、実らなかった恋。それがとてもよく、表されていたからです。

【僕の中のやり残した夏、をオリーブを読んでくれているみんなに紹介したい】

秋元さんは高校2年・17歳の頃、お付き合いしていた彼女にまつわる夏の思い出を小説に書いていたそうです。しかし彼女との恋が終わり、それと同時に小説も書きかけのまま、未完に終わります。
一部抜粋させていただきます。

【夏は確かに一度きりだけど、すべてを、思い通りにやり遂げてしまう必要はない。
ああ、もう少し、こうすればよかった
なぜ、こういう風にしなかったんだろう
今年の夏、やり残したことを、大切にして欲しい。
むしろ、未完成だからこそ、素敵な思い出になることだってあるのだ。
僕自身を考えれば、17歳の時の、やり残した夏、があったから、今の僕があるような気がする。
この小説を完成できなかったからこそ、僕は、物を書くということに執着して来たのだ。
夏の終わりに少し落ち込んでいる人へ。
いっぱい、後悔しなさい。】

ちょうどこの年の夏の終わり、私は片想いの恋が終わり、ひどい嫌われ方を経験し、心がすさみきっていました。そこから今につながる、自分いじめ、不本意な結婚生活、夫のことでしなくてもいい理不尽な苦労、がはじまったのです。そのきっかけ、入り口になったのが、この夏の終わりでした。もしこの時、『オリーブ』を手に取り、秋元さんのエッセイを読んでいたら!!私の人生はもしかしたら、変わっていたかもしれない。いや、でもあの当時では、響かなかったか・・今ようやく時を経て、しみじみ読む縁ができて、私も文章を書く暮らしがはじまっていて・・あぁそうなんだ。秋元さんのおっしゃる通り、【物を書くということの執着】これは過去の後悔をもう一度反芻するということなんだと分かり、涙が溢れました。ああすればよかった、なぜあんなことをしてしまったのだろう、そうした後悔があるからこそ、文章を書く、という作業が、生き生きとしてくるのですね。過去の自分を、恥じることはないのですね。ようやく、この年齢になって、「あなたの生き方は、間違ってはいなかったよ。」と言っていただけた、気がします。秋元さん、ありがとうございます!(30年前の秋元さんですが…)
この後、翌年ですね。秋元さんは美空ひばりさんに「川の流れのように」を書かれ、そこから押しも押されぬトップの作詞家になられました。そして誰もがご存知AKB48のプロデュース。SKE、NNB、HKT、乃木坂、欅坂etc.今や日本の音楽界を代表とする方です。でもその活躍の裏には秋元さんのこの、やり残した夏の後悔、があったからなんでしょうね。書くことを、辞めることをしない、理由なのでしょう。素晴らしいと思ったし及ばずながらも、(一生かかっても及ばないでしょうが…)私も見習わせていただこうと、勇気が出ました。本当に、素敵なエッセイでした。そうして、こんな名文を載せてくださっていた『オリーブ』は改めてすごいと思ったし、まだ駆け出しの作詞家さんであった秋元さんを起用?するなんてやっぱり、洗練された雑誌だと感動しました。
[PR]
by 20170411mai | 2017-09-26 10:10 | お気に入り | Comments(0)